早稲田大学2023年度法学部「国語」漢文について

早稲田大学 2023年度法学部の「国語」第二問の漢文は、蘇軾の「李氏山房蔵書記」という文章からの出題でした。非常にメッセージ性のある文章で、早稲田大学の教育理念とも響きあうものでした。

筆者の蘇軾は、書物について、昔は得難いものであったけれども、今は簡単に手に入るようになったと述べ、次のように言います。

「而後生科挙士、皆束書不観、游談無根此又何也」
―それなのに後生の科挙の受験生が、みな書物を束ねて(おくだけでそれを)見ず、根拠のないことを漫然と語るのは、これまたどういうわけか。―

「使来者知昔之君子之見書之難、而今之学者有書而不読為可惜也」
―後生の人たちに、昔の君子が書物を見ることがいかに難しかったか、それに対して今学問をする者たちが書物を持っているのにそれを読まないことがいかに惜しいことかを知らせよう。―

書物から学ぶこと、そして学んだことを根拠にして考え語ることの重要さを説いているようです。

早稲田大学の田中愛治総長は今年の入学式の式辞の中で早稲田の教育理念の一つである「たくましい知性」について、次のように述べられました。

―これからの社会で皆さんが生き抜いていくためには、是非とも早稲田で「たくましい知性」を育み、自分の頭で、自分なりの解決策を提示できるようになっていただきたいのです。ただし、「自分の頭で考える」と言っても、ただの思い付きでは、現実の社会では通用しません。そのためには、学問を身に付けたうえで自分の頭で考える必要があります。
学問とは、文字が発明されて以来、5千年にわたる人類の経験のエッセンスが体系的にまとめられたものです。もちろん、過去に人類が経験したことのない未知の問題の解決方法は、学問には記されていません。しかし、学問をひもとけば、過去に人類がどのように、その時代、その時代に未知の問題に挑戦したのかを、学ぶことができます。したがって、皆さんが未知の問題に直面した時には、早稲田で修得する学問を基礎において、自分の頭で解決策を考えることが、有効な方法になります。―

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